カリキュラム 2025年11月

成長させてくださるのは神である(Ⅰコリント3:7)

日本では、初めて高市早苗さんが女性の内閣総理大臣に就任しました。初代・伊藤博文さんからおよそ140年、ついに“ガラスの天井”が取り払われたのです。

いま、男女を問わず、自分のしたいこと・進みたい道を自由に選べる社会が開かれています。さらに、かつてないほどの技術革新も起きています。数年前までは「少子高齢化で日本の未来は暗い」と言われていましたが、AIテクノロジーの進化によって、人口増ではなくとも、チャレンジ精神と日本人らしいきめ細やかさ・勤勉さ・共感力を生かし、もう一度明るい未来を描くチャンスが訪れているのではないでしょうか。

ただし、高度経済成長期のような「全体としての成長」ではなく、これからは所属するグループ・地域・企業・団体などにおける局所的な成長へと移っていくことは明らかです。自動車が馬車に取って代わったように、社会はつねに利便性の高い方向へ進化していきます。そのためにも、意欲と行動力のある子どもたちを育てていきたいですね。

最近の調査では、小中学生の過半数が「一日の読書時間0分」と答えたそうです。これは10年前より約5割増しです。また、文部科学省が実施した全国学力・学習状況調査(小学6年生・中学3年生対象)でも、著しい学力低下の傾向が報告されました。要因としては、

① 学習時間の減少

② スマートフォンなどによるスクリーンタイムの増加

③ 「学校は楽しく通ってくれれば、学業はそれほどできなくてもよい」という保護者意識の変化

が挙げられています。

テクノロジーの進歩によって、少ない労力で成果を上げられる場面は確かに増えました。しかし、「人間の能力開発」はそう簡単ではありません。脳や心の成長には、生きた脳の中での物理的な変化が必要だからです。筋肉が負荷トレーニングで強くなるように、脳の神経回路も繰り返しの経験・挑戦・努力によって強化されていきます。だからこそ、知っているか否か、知ったうえで行動するか否かによって、これからますます格差が広がっていくでしょう。

就学前の6歳までは学校のような通信簿はありません。しかし、次の5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の成長を、保護者も保育者も心に留めておくことが大切です。そして、そのすべての基盤にあるのは、「愛」と「期待」です。

5領域の育ちのキーワードリスト

  1. 健康:  生活習慣の自立・身体感覚・情緒の安定
  2. 人間関係:社会性・共感・信頼・自己肯定感
  3. 環境:  探究心・観察力・環境への感謝と責任
  4. 言葉:  語彙・表現力・聞く力・伝える力
  5. 表現:  創造性・感受性・自己表現

良質な経験・体験・思いをたくさん重ねましょう。

『しあわせな王子』の世界を思い巡らせながら、強く、やさしく、美しい心を持ったステキな子どもたちに成長していくことを願います。成長させてくださるのは神様であることを信頼して。

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